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第二章 高床式神殿の祭神(三)創造主 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第二章 高床式神殿の祭神(三)創造主

 
 碗形土器には垂幕の図絵が
 二ヶ所に描かれている。
 
 双方とも幕の端に房を付けているので、
 明らかにベイル veil である。
 
 一方のベイルは
 髪の長い二人の女性の手によって
 掲げられている。
 
 布幕の中は空白で何も無い。
 
 ベイルとは何かを覆い隠す幕のことであり、
 その向こうに何かが存在するが、
 
 空白は
 それを敢えて語らないことにしている
 意思の表明である。
 
 この図柄から読み取ることができる状況は
 まさに
 「ありてなきもの、なきてあるもの」
 を見る者が
 感得しなければならない
 形而上学的表現である。
 
 しかし、
 「なきもの」の実体を推測するための材料が
 全く提供されていない訳ではない。
 
 まず布幕に付けられている房は紐状で、
 幕の内が神聖な場所(聖所)ないし
 事柄を秘めていること
 及び二人の女性が侍していることから
 女性に係わる秘所であると思われる。
 
 ベイルは英語の呼称ではあるがヒントがある。
 
 シュメルの絵文字を捜っていくと、
 この図柄に酷似した文字「絵文字」があり、
 シュメル語で bar と読まれ、
 「聖所」の意味であり、 
 veil と近似している。
 
 絵文字には碗形土器の意匠では
 空白であった囲みの中に
 V のマークが書かれているが、
 これは土器の女性にも白抜きで
 逆三角形が取られているように
 女性の性器の象徴であり、
 幕の内に女性が坐すことを示している。
 
 シュメル語 bar を
 同じ英語に捜ってみると bear があり、
 その意味は
 「子供を産む」であるばかりでなく
 「支える、持つ」の字義があり、
 二人の女性が
 垂幕を支え持っている行為自体が
 「出産」を表意していると解釈できる。
 
 産み出す役目をするのは母の役割である。
 
 この幕の内には母神が坐すことが解ってくる。
 
 シュメル時代に実在した王の名ドゥムジは
 アッカド語に tammuz と転訛し、
 神格化され賛美歌が寄せられているが、
 その中で「太古の母」である 
 zikum とすでに紹介した
 「天空」が名指しされていると同時に
 「空を横断する偉大な母」
 と太陽を想起させる表現がある。
 
 シュメル語で
 は母は「アマ ama 」といい、
 絵文字では「米□」と描かれ、
 天空 zikum 「絵文字」を神「絵文字」が
 移動していく図柄で、
 楔形文字では「絵文字」となり
 天空の中を神が動くことを示す
 「絵文字」が付け加えられている。
 
 明らかに母神が太陽である証明となっている。
 
 ここで、
 巻頭に紹介した日本の信濃風土記逸文に残る
 「箒木」を思い出していただきたい。
 
 あるとみえるが、
 近づくと見えないというのが主旨であった。
 
 目を直に向けると眩みして
  何も見えなくなる現象といったものと
 考えれば
  碗形土器の幕の内に
 何も描かれていない意図は
 太陽を表していると理解できる。
 
 因みに tammuz は聖木の呼称となっており
 「箒木」に対応される。
 
 絵文字「楔形文字」には 
 bar より古いとみられる
 barg という訓読があり、
 同じく聖所を意味する。
 
 この用語はサンスクリット語に入って 
 praja となって、
 「出産する、生じる」を
 名詞形で
 「生殖・繁殖・子孫・創造物」
 を意味する。
 
 構成用語 pra- は
 英語の pre- に対する
 接頭語(先の、前の)であるが、
 親族関係に使われると祖あるいは
 曽の内容となる。
 
 Ja は jan と同義で
 「産む、発生させる、出産する、創造する」
 の動詞である。
 
 同類語 janka も
 「生む、産出す」また名詞として
 「父」を表す。
 
 Jan~a は「出生・起源」である。
 
 Prajaに係わる熟語 praja-pabi は
 インドの文献、
 歴史がヴェータ時代に諸神を主宰する
 至上の神で「子孫の主」であるが、
 
 また
 「生産の主、繁殖を司る守護神、
  生命の保護者、創造主」と
 神話の中で高い地位を与えられた。
 
 同類語 prajn~a は「知恵」を意味するが
 prajn~a-pāramita は般若波羅蜜多、
 つまり「般若経」の祖語で
 最高度の知識または理解を示している。
 
 この合成語を解釈すれば、
 「原初の起源を知る」ことで、
 般若経の条句「色即是空」を悟ることとなる。
 
 以上のことから
 碗形土器に描かれた二人の女性が
 保持する垂幕意匠には
 太陽に象徴されるた大母神である
 創造神への信仰が
 込められているとしてよいであろう。
 
 となるように、
 グルジア語も本来は 
 ha(b) eri であったと考えられる
 
 カルト語では……?……
 また、
 マルタ語の huburu に係わり
 碗形土器のヴェールの向こう(の大母神)の
 性格を示唆している。
 
 現在のカトリック教修道女の衣裳や
 イスラエル教の女性が
 外出する際に身を覆い、
 顔を隠すベイルの起源はすでに
 この紀元前六千年前の
 アルパチヤの碗形土器に
 その端緒があるともいえる。
 
 ところで
 シュメルの神を表す絵文字「」は 
 dingir とは別に
 「天」を表す「アン an 」とも読まれる。
 
 シュメルの三大神のうちのアン神は
 アッカド語でアヌ anu と転訛するが、
 シュメルの神話における
 天の諸神の父である始祖神の地位にある。
 
 シュメル語の対称によると
 母神 ama に対して 
 an は父神である。
 
 サンスクリット語 jna は
 この an の転訛と考えられ、
 
 「主・支配者・太陽」の字義ではあるが 
 jan の派生語と思われる。
 
 また、 janaka は Enki の転訛であろう。
 
  Enki の意味も父ではあるが、
 「創造主」と称した方がよいであろう。
 
 メソポタミアとインダス文明との
 関係について
 ここで多くを語ることはできないが、
 インダス河の河口地帯の西に 
 Kirthar 山脈があり、
 そこを流れる川が Hab 川で、
 その河口のアラビア海に向かった
 前のパキスタンの首都 
 Karachi の名称は
 カルト人が移動したか影響された遺称で、
 古代からの地域名 
 Sindh は
 Singar あるいは dingir の
 祖語の転訛であると考えられる。
 
 インドの創世神話に語られる
 太初からの四っの時代(ユガ)のうち、
 第一の黄金時代を
 クリタユガ krta-yuga というのも
 示唆するところがある。
 
  Krta は「作られた」ではあるが、
 聖紐の意味もある。
 
碗形土器垂幕の図
 創造主.jpg
 Tell Arpachiyah (Iraq)
 
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、
 マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に
  描かれている) 
 
 ※ARPACHIYAH 1976
 
 ※高床式神殿


M.K記

 

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第二章 高床式神殿の祭神(二)水神 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第二章 高床式神殿の祭神(二)水神


 アルパチヤの碗形土器には
 二人の人間の身長よりも大きい壺が
 描かれている。
 
 壺はアッカドのマルドゥク王の場合のように
 王の象徴でもあった。
 
 ハラフ期・ウバイド期の神殿に
 残された壺の中からは
 穀物、動物の骨、魚の骨などが
 発見されていて、
 神殿への奉納のための容器として
 使われたことを示している。
 
 しかし、
 牛頭・マルタ十字紋と並列された壺には
 単なる貯蔵用容器を表すだけでない
 神への期待が込められている。
 
 「水の恵み」を
 祈願しているものとみられるのである。
 
 シュメル語の畑を表す 
 aša は「真ん中に水がある」字義で、
 農耕のために水がいかに
 貴重視されていたかが解る。
 
 「ア a 」が水、
 「シャ sa 」が中央を表す。
 
 高床式神殿の「高み」にある聖所は
 suku ないし sug と称したことは
 紹介済みだが、
 この用語の絵文字は「○の中に横∬」で、
 容器の中に水があることを表している。
 
 楔形文字になると、
 刻文は一つでも「池・堤」を表し、
 amber と読まれた。
 
 また、
 天空 zikum を表す楔形文字は 
 engur とも読まれ
 「深海」ないし「深水」の意味で、
 大量の水を想像させる。
 
 河川は「 id イドゥ」であるが、
 その楔形文字は水と
 engur/zikumとの合成語である。
 
 エリドゥの神殿の呼称は 
 e engur で「水の神殿」の意である。
 
 Engur の楔形文字を分析すると、
 容器( gur )が星型米( an )を囲んでいる。
 
 つまりengur は an-gur であり、
 「天にある容器」と解釈でき、
 雨を降らせるために水を貯える
 天の壺と考えられる。
 
 壺は dug ないし duk と呼ばれた。
 
 この楔形文字はまた buk とも読まれ、
 動詞形になり、「所蔵する」の意味になる。
 
 さらにこの語は「耕作する」にも使われ、
 神殿の壺が穀物の豊饒を祈っていることも
 理解される。
 
 ARPACHIYAH1976.jpg
アルパチャ遺跡の碗形土器
神殿の壺
 
 Tell Arpachiyah (Iraq)
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、
 マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に
  描かれている) 
M.K記



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第二章 高床式神殿の祭神(一)豊饒神 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第二章 高床式神殿の祭神(一)豊饒神


 あの碗形土器の高床式神殿には
 屋根がついているが、
 その形状は牡牛の角のように
 上に向かって弧を描いており、
 牛頭の象徴であろうことをうかがわせている。
 
 碗形土器の意匠には
 マルタ十字紋様が四つ描かれている。
 
 十字紋や卍字紋意匠は
 サマッラ土器に特異な紋様である。
 
 十字紋の上に星形と動物の横身姿と思われる
 小さな図形がある。
 
 このことにより
 十字紋が信仰に係わる何かの象徴と
 判断できる。
 
 マルタ十字の名称は地中海の
 イタリア半島の西シシリア島の
 アフリカ側にある小さな島マルタ
 Malta国 と関係がある。
 
 首都は Vallette である。
 
 マルタ国は
 古来独自の文化を保持継続してきたが、
 言語的にもラテン語・アラビア語などの
 影響を受けながら自国語を守ってきた。
 
 そのマルタ語の中に
 神への信奉、敬愛、供施、慈愛を表す言葉 
 arita があり、
 また、
 Sinjurは宗教的表現でないが、
 主・主人・紳士を意味し、
 一般的に
 男性を呼ぶ「~さん」に使われている。
 
 北メソポタミアの影響と
 考えられる単語である。
 
 国名 Malta は
 ラテン語の「結婚させる」の 
 marto に関係する。
 
 結婚は男女が「交わる」ことであるが、
 同島の地理的環境は
 東西南北の交通の要所でまさに
 「交差点」であり十字の中心である。
 
 以上のことを根拠とすると、
 「交差する」ことは
 「結婚するする」ことで、
 動物の場合は「交配させる」ことで、
 繁殖を意味することとなる。
 
 シュメル語 bal の派生語 
 šabal は子供、子孫を表す。
 
 碗形土器に描かれたマルタ十字紋は
 豊饒祈願のシンボルと
 考えられることになる。
 
 別の一角にも二つのマルタ十字紋とともに
 蛇の姿が描かれている。
 
 これは牡牛の男根の象徴であろう。
 
 シュメル時代に入ってからの、
 碑文を刻んだグディア王像を
 先に取り上げたが、
 同王の時代、
 紀元前二千年頃に作られた
 神像と思われる人、
 頭と牡牛の体した像には、
 その腹部に男根がが浮き彫りされている。
 
 土器の蛇には首のあたりに
 リボン状の紐を結っている。
 
 紐をつけることは
 祝福されていることの目印で
 神聖の象徴である。
 
 十字紋はハラフ期の当時
 何と呼ばれていたのであろうか。
 
 マルタ語の「主」を表す 
 sinjur の同類後に
 「しるし、標識、記号」を表す 
 sinjal がある。
 
 Sinjur と北イラクの山脈名 Sinjer は
 同根語で、
 sinjer は先にみたように神殿を表わした。
 
 この用語は現在のマルタでは
 「主、主人」の意味ではあるが、
 古代においては
 「神」そのものを意味したように思われる。
 
 するとマルタ十字紋である
 「しるし sinjal 」自体が
 「神体」の象徴であったことになる。
 
 「神への信奉」を字義とする
  karita を持つこの島の人々の基層には
  khard 人が存在したと考える。
 
 彼等がマルタ十字紋を
 「シンジャル」と
 称していたといってもよいだろう。
 
 牛頭崇拝の文化を
 北メソポタミアから持ってきたのである。
 
 シュメル語に入った神をいう場合の 
 dingir は
 この sinjer の
 祖語の転訛であると考えられる。
 
 Dingir の絵文字「米」は
 星の抽象化によるものと解釈がされている。
 
 シュメル語の天空を意味する 
 zikum は「□の中に米」に作られ、
 星のある世界ということである。
 
 「高床式神殿の高み」にある
 「聖所」はsukuで、
 十字紋の坐すさらなる「高み」の天空を
 「神の坐す聖所」と考え、
 zikum と称したと考えられる。
 
 サンスクリット語に七星を表す 
 krittika (星座名)がある。
 
 この星座は小童である
 医方神 karttikeya の乳母とされているが、
 khard を祖語とする同類語と考えられる。
 
 Rarttikya神の性格は
 エンキ神によく似ている。
 
 Krittikaは
 漢訳では昴(すばる)宿とされている。
 
 しかし、
 インドの神話から判断すると
 北斗七星か小熊座であろう。
 
 サンスクリット語には
 大熊座(北斗七星)内の星を指す 
 Kratu もあるが、
 karttikeya が小童であることを
 考慮すれば
 小熊座の方である。
 
 七つの星はひしゃくを
 表す配置になっていて、
 北斗七星の「斗」は
 そのひしゃくを意味するが、
 またこの形象は角を形作る。
 
 古代のメソポタミアにおいても
 khard座と呼ばれたことは十分ありえよう。
 
 サンスクリット語 kratu は
 「知恵、知識、犠牲、供犠」を意味し、
 カルト人の性向に一致する。
 
 また同類語 kartr は
 祭官を意味するばかりでなく、
 「創造者」あるいは「創造主」を
 字義としており、
 
 最初の知恵者であったことを
 髣髴させている。
 
 小熊座にある北極星は
 天空の中心点にあるものとして
 感得されていたと思われる。
 
 小熊座の名称は便宜上使うが、
 ギリシャ人が名付けたもので
 紀元前六千年期のカルト人には係わりがない。
 
 牡牛座などの星座名も全く同様である。
 
 サンスクリット語では
 十字紋、卍字紋を総称して
 スワスティカといい
 吉兆のシンボルであることは
 すでに記述した。
 
 この「スワ」は
 シュメル語にある 
 šabal の同義語と考える。
 
 文法的解釈では
 「交差する中央」ではあるが、
 十字を表し、子供・子孫をも表す。
 
 紀元前二千五百年頃の史料に、
 アッカドのサルゴン王に
 征服された土地の中に
 北メソポタミアの種族として
 スバル人ないし、レスバルトゥが現れる。
 
 彼らが十字紋 šabal 信奉者であり、
 それが種族名の由来と考えられるので、
 カルト人の中から興ったか、
 その別称であったと思われる。
 
 スバル人の呼称の始原は、
 しかし
 紀元前二千五百年期より
 かなり遡ぼるだろう。
 
 ある見解によると
 紀元前三千五百年前には現れたとしている。
 
 紀元前三千年頃の
 シュメル語に取り入れられた
 鍛冶屋を表す thveli は
 スバル人の職業的変名である。
 
 スバル人のアナトリアの銅を
 商業的に発展させた結果を表す。
 
 このように後世スバル人と呼称されるが、
 ハラフ期からウバイド期にかけて
 北メソポタミアで
 活動していたのはカルト人であり、
 
 彼等は高床式神殿で
 天空の極点にある北極星を
 スバル星(中心星)とし、
 周辺の七星を角座として信仰したと
 解釈することができる。
 
 カルトがスバルに代わったことを
 証明する明白な根拠がある。
 
 先に述べたように
 「創造者・創物主」を表す用語は、
 サンスクリット語で kartr であった。
 
 同義の用語がドイツ語にあって、
 Schöpher がその用語で、
 シュメル語 śubal に対応する。
 
 サンスクリット語の成立は
 紀元前一千年頃からであるのに対し、
 ドイツ語の祖語を使うゲルマン人が
 現れるのは
 紀元前二、三世紀頃と遅い。
 
 ゲルマン神話の主神オーディン伝説を記す
 「ヘイムスクリングラ王朝」の成立は
 紀元後のことである。
 
 相互の時代的経緯を考え合わせると
 カルトがスバルに代わっていることの
 証左である。
 
 ドイツ語の schöphe には前記の他神、
 それも「全能の神」を schöpher 、
 さらに「すくう人、汲む人」を内容とする。
 
 スバルがひしゃくの神であり、
 北極星を含む角座あるいは北斗七星が
 信仰の対象になっていたこ 
 その動詞形schöphen の意味は「汲む」のほか、
 植物を対象とする使用方法で「受精する」、
 
 戯曲表現で女性が
 「妊娠する」の使用例があり、
 
 高床式神殿の豊饒祈願と
 合致するところである。
 
 シュメル語に 
 kalu と表記してスバル
 と発音させる慣用句がある。
 
 「豊饒の門」の意味で、
 神殿への信仰を思わせる。
 
ARPACHIYAH1976.jpg
アルパチャ遺跡の碗形土器
高床式建物
 ※Tell Arpachiyah (Iraq)
 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、
 マルタ十字紋等
 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に
  描かれている) 



M.K記


 

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第二章 高床式建物と「高み」 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
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《第二章 高床式建物と「高み」


神聖の系譜.jpg


 高床式建物に託された
 宗教的想念には埋葬儀礼を脱却した
 未来志向の新しい信仰心が
 発揚されていると考えられる。
 
 階段 galam 
 を昇って至るどころでの「高み」は
 神聖な場所であったことは明らかである。
 
 Galam を表す楔形文字はまた 
 sukudとも読まれた。
 
 その意味は「高くする」で、
 階段を昇って行くことである。
 
 階段上の聖所は 
 suku ないし sugと 称された。
 
 高床式建物の構造からすれば、
 このような建物が作られ始めた頃には
 簡単な仕組みで柱によって
 箱を支えるようなもので、
 箱中へは人間は入らなかっただろう。
 
 その聖所に穀物を蓄えることを 
 si-en-gar といい、
 貯蔵する容器を sahar(sakar)、
 穀倉としての建物は gur と称され、
 管理者は sanga で、
 神殿の司祭ということであったと思われる。
 
 このような高床式建物は 
 unu と呼ばれる祭式の場で、
 高床式神殿といってもよいであろう。
 
 建物を建てる技術は、
 洪水神話に語られる
 「箱船」の建設技術の基礎になっていると
 推測される。
 
 北メソポタミアの Oihok市 の西方
 (無土器新石器時代のネムルク遺跡付近)
 チグリス川の近くに
 Allakoの町がある。
 
 この町名は、
 ギリシャ語のαργω、
 ドイツ語のArche、
 英語のArkと同根と思われる。
 
 箱を意味する言葉である。
 アッシリア時代ではあるが、
 ペルシャ湾のディルムンと
 交易する貿易商人を
 アルクArkと呼んだ。
 
 「箱」が「商船」の意味に使われたのである。
 
 「箱船」を表記する町が
 北イラクのこの地域にあることは重要である。
 
 また「箱を作る人」は、
 ドイツ語でArchitekt、
 現在でいう建築技師である。
 
 箱を備えつけた
 高床式神殿を建築することは
 貴重な技術革新であったと考えられる。
 
 ウバイド期にエリドゥなどで
 発展した煉瓦で建立された神殿技術は、
 紀元前五千四百年頃より一千年間くらい続く
 後期ウバイド期に入って、
 北メソポタミアにも伝波され、
 ニネヴェ近郊のテペ・ガウラなどで
 煉瓦を積上げ、
 壁を作った建物が神殿として
 現れるようになった。
 
 シュメル語で
 「煉瓦・壁」を表す用語は 
 sig である。
 
 Sigの同根語がドイツ語にある。
 Ziegelが煉瓦を、
 Zingelが囲壁、市の城壁などの壁をを表し、
 Singelは市の外壁を表す。
 
 この同類語が
 北イラクの山脈シンジャール
 Sinjerである。
 
 ドイツ語のZingelには
 壁の他に台地や段丘の意味があるが、
 これも神殿の基壇である土塁と
 解釈できるので結局神殿を意味する。
 
 また、
 Zingelの原意は
 紐、帯、飾り帯を意味する
 Gurtelと関連があるという。
 
 サンスクリット語の縄・紐を表す 
 gardura と同義語である。
 
 また
 カトリック教の聖紐は 
 Zinglum と称される。
 
 以上の言語から理解すると、
 原初的には
 紐による縄張りが
 行なわれていたと推測される。
 
 高床式神殿を動物の害から守るため
 周囲に紐を回らしたのである。
 
 紐を張ることを 
 Zingel といったのである。
 
 紐は動物の皮革であっただろうが、
 次第に垣根を作るようになり、
 壁を建てる工夫を思いついたと思われる。
 
 これが
 ジンジャ sinjer である。
 
 このように理解すると、
 供儀所を備えた神殿の発祥地が
 北メソポタミアにあったと考えてよいであろう。
 
 なお、
 神殿に穀物を貯蔵する行動は
 ウバイド期からウルク期の遺跡
 シンジャール山脈にある
 グライ・レシュの至聖所内から
 大麦・小麦を大量に納めた
 甕が見つかっていることからも
 慣習であったと考えられる。
 
 Sinjerの祖語は、
 シュメル語に波及し、
 神・天を表す dingir へ転訛したと考える。
 
 また、
 シュメル語Sahar、Sakarは
 ドイツ語のSchrein、
 英語のShrineと同根語で、
 容器・箱を表すが、
 日本の神社も英独語に翻訳する際には
 この用語が当てられている。
アルパチャ遺跡の碗形土器
高床式建物
ARPACHIYAH1976.jpg
M.K記


 

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