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第二章 高床式建物と「高み」 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第二章 高床式建物と「高み」


神聖の系譜.jpg


 高床式建物に託された
 宗教的想念には埋葬儀礼を脱却した
 未来志向の新しい信仰心が
 発揚されていると考えられる。
 
 階段 galam 
 を昇って至るどころでの「高み」は
 神聖な場所であったことは明らかである。
 
 Galam を表す楔形文字はまた 
 sukudとも読まれた。
 
 その意味は「高くする」で、
 階段を昇って行くことである。
 
 階段上の聖所は 
 suku ないし sugと 称された。
 
 高床式建物の構造からすれば、
 このような建物が作られ始めた頃には
 簡単な仕組みで柱によって
 箱を支えるようなもので、
 箱中へは人間は入らなかっただろう。
 
 その聖所に穀物を蓄えることを 
 si-en-gar といい、
 貯蔵する容器を sahar(sakar)、
 穀倉としての建物は gur と称され、
 管理者は sanga で、
 神殿の司祭ということであったと思われる。
 
 このような高床式建物は 
 unu と呼ばれる祭式の場で、
 高床式神殿といってもよいであろう。
 
 建物を建てる技術は、
 洪水神話に語られる
 「箱船」の建設技術の基礎になっていると
 推測される。
 
 北メソポタミアの Oihok市 の西方
 (無土器新石器時代のネムルク遺跡付近)
 チグリス川の近くに
 Allakoの町がある。
 
 この町名は、
 ギリシャ語のαργω、
 ドイツ語のArche、
 英語のArkと同根と思われる。
 
 箱を意味する言葉である。
 アッシリア時代ではあるが、
 ペルシャ湾のディルムンと
 交易する貿易商人を
 アルクArkと呼んだ。
 
 「箱」が「商船」の意味に使われたのである。
 
 「箱船」を表記する町が
 北イラクのこの地域にあることは重要である。
 
 また「箱を作る人」は、
 ドイツ語でArchitekt、
 現在でいう建築技師である。
 
 箱を備えつけた
 高床式神殿を建築することは
 貴重な技術革新であったと考えられる。
 
 ウバイド期にエリドゥなどで
 発展した煉瓦で建立された神殿技術は、
 紀元前五千四百年頃より一千年間くらい続く
 後期ウバイド期に入って、
 北メソポタミアにも伝波され、
 ニネヴェ近郊のテペ・ガウラなどで
 煉瓦を積上げ、
 壁を作った建物が神殿として
 現れるようになった。
 
 シュメル語で
 「煉瓦・壁」を表す用語は 
 sig である。
 
 Sigの同根語がドイツ語にある。
 Ziegelが煉瓦を、
 Zingelが囲壁、市の城壁などの壁をを表し、
 Singelは市の外壁を表す。
 
 この同類語が
 北イラクの山脈シンジャール
 Sinjerである。
 
 ドイツ語のZingelには
 壁の他に台地や段丘の意味があるが、
 これも神殿の基壇である土塁と
 解釈できるので結局神殿を意味する。
 
 また、
 Zingelの原意は
 紐、帯、飾り帯を意味する
 Gurtelと関連があるという。
 
 サンスクリット語の縄・紐を表す 
 gardura と同義語である。
 
 また
 カトリック教の聖紐は 
 Zinglum と称される。
 
 以上の言語から理解すると、
 原初的には
 紐による縄張りが
 行なわれていたと推測される。
 
 高床式神殿を動物の害から守るため
 周囲に紐を回らしたのである。
 
 紐を張ることを 
 Zingel といったのである。
 
 紐は動物の皮革であっただろうが、
 次第に垣根を作るようになり、
 壁を建てる工夫を思いついたと思われる。
 
 これが
 ジンジャ sinjer である。
 
 このように理解すると、
 供儀所を備えた神殿の発祥地が
 北メソポタミアにあったと考えてよいであろう。
 
 なお、
 神殿に穀物を貯蔵する行動は
 ウバイド期からウルク期の遺跡
 シンジャール山脈にある
 グライ・レシュの至聖所内から
 大麦・小麦を大量に納めた
 甕が見つかっていることからも
 慣習であったと考えられる。
 
 Sinjerの祖語は、
 シュメル語に波及し、
 神・天を表す dingir へ転訛したと考える。
 
 また、
 シュメル語Sahar、Sakarは
 ドイツ語のSchrein、
 英語のShrineと同根語で、
 容器・箱を表すが、
 日本の神社も英独語に翻訳する際には
 この用語が当てられている。
アルパチャ遺跡の碗形土器
高床式建物
ARPACHIYAH1976.jpg
M.K記


 

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