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第五章 旧約聖書「創世記」エデンと四つの川 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

『バグダッド下水音頭』http://blog.livedoor.jp/matmkanehara10/archives/52049176.html
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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第五章 『旧約聖書』「創世記」エデンと四つの川


  「創世記」第二章は次のように記す。
 
  主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、
  その造った人をそこに置かれた。
 
  また主なる神は、
  見て美しく、食べるに良い
  全ての木を土から生えさせ、
  更に園の中央に命の木と、
  善悪を知る木とを生えさせられた。
 
  また、
  一つの川がエデンから流れ出て園を潤し、
  そこから分かれて四つの川となった。
 
  その第一の名はピソンといい、
  金のあるハビラの全地をめぐるもので、
  その地の金は良く、
  またそこはブドラクと、
  縞瑪瑙とを産した。
 
  第二の川の名はギホンといい、
  クシの全地をめぐるもの。 
 
  第三の川の名はヒデケルといい、
  アッシリアの東を流れるもの。
 
  第四の川の名はユフラテである。
 


 
M.K記
 連絡先:090-2485-7908
 

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第五章 『旧約聖書』「創世記」洪水伝説と祝祭 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

『バグダッド下水音頭』http://blog.livedoor.jp/matmkanehara10/archives/52049176.html
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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第五章 『旧約聖書』「創世記」洪水伝説と祝祭


  ノアの箱舟として知られる洪水伝説は
 『旧約聖書』にだけ特異の物語ではない。
 
 メソポタミアの粘土板の楔形文字文書のなかに
 二つの伝承があるのである。
 
 そううち最も神話として完成され、
 残されているものは、
 
 紀元前二千年頃のアッカドの文書
 「ギルガメシュ叙事詩」に
 語られているものである。
 
 ギルガメシュは
 紀元前三千年紀書紀の
 シュメルの都市ウルの王で、
 ギルガメシュの英雄物語と共に、
 不死を探究して旅に出、
 ウトナピシュティムという不死を
 与えられた者から閉ざされる。
 
 物語は、
 ジョン・グレイ「オリエント神話」など
 すでに日本語に翻訳されているので、
 ここでは
 同書からウトナピシュティムの船が
 洪水が治まってから
 ニシル山に着いてからの
 七日目以降の詩句を転載する。
 
 「オリエント神話」
 
 ウトナピシュティムの船が洪水が治まってから 
 ニシル山に着いてからの七日目以降の詩句を転載する。
 
  七日目になった時、
  私は鳩を派遣し、解放した。
  鳩は飛び去ったが、帰って来た。
  どこにも休む場所が見えなかったので、
  鳩は戻った。
  そこで、私は燕を派遣し、解放した。
  燕は飛び去ったが、帰って来た。
  どこにも休む場所が見えなかったので、
  燕は戻った。
  そこで、私は烏を派遣し、解き放した。
  烏は飛び去り、水が引いたのを見て、
  彼は食べ、旋回し、カアカア鳴き、
  そして戻らなかった。
  そこで私は四つの風に全てを解き放し、
  そして、犠牲を捧げた。
  私は山の頂上に神酒を注いだ。
  私は七つ、また七つと祭器を置いた。
  私はそれらの壺の台の上に、
  草と杉の木とテンニンカを積み上げた。
  神々はその香りを嗅ぎ、
  神々はその甘い香りを嗅ぎ、
  神々は蝿のように、
  犠牲の施主のまわりに群がった。
 
 もう一つの
 メソポタミアの洪水伝説を記す粘土板の文書は
 ニップルから出土した。
 
 しかし、
 こちらは既に破損などによる
 読解不可能部分や欠落があり、
 「ギルガメシュ叙事詩」ほど完全ではないが、
 上記箱舟の部分は読み取りが可能であった。
 
 この粘土板の物語は
 ギルガメシュ叙事詩より古いものと考えられている。
 
 『旧約聖書』のノアあるいは
 ウトナピシュティムに当たる
 この粘土板の王はジウスドラという。
 
 ヘルムート・ウーリッヒ
 「シュメル文明」よりその部分を転載する。
 
  恐れるべき嵐が荒れ狂った。
  同時に破壊的な大洪水が起こった。
  七日七夜にわたって、
  嵐と洪水は国中を被った。
  巨大な箱舟は、
  嵐の中を波のまにまに揺れ動いた。
  その時、太陽の神が現れ、天と地を照らした。
  太陽神ウトゥの光は巨大な箱舟の中に差し込んだ。
  王、ジウスドラは、
  ウトゥの前にひざまづいた。
  王は一頭の牡牛を屠殺し、
  沢山の羊を犠牲に捧げた。
 
 「オリエント神話」
 
 次に『旧約聖書』「創世記」第八章から、
 前証に当たる大洪水後の部分を抜粋して転載する。
 
 (日本聖書教会版)
 
  四十日たって、
  ノアはその造った箱舟の窓を開いて、
  烏を放ったところ、
  烏は地の上から地上の水が乾ききるまで、
  あちこちへ飛びまわった。
  ノアはまた地の面から、
  水がひいたかどうかを見ようと、
  彼の所から鳩を放ったが、
  鳩は足の裏を止める所が見つからなかったので、
  箱舟のノアのもとに帰って来た。
  水がまだ全地の面を覆っていたからである。
  彼は手を伸べて、これを捕らえ、
  箱舟の中のを彼のもとに戻した。
  それから七日待って、再び鳩を箱舟から放った。
  鳩は夕方になって彼のもとに帰って来た。
  見ると、
  そのくちばしには、
  オリーブの若葉をあった。
  ノアは水が地上からひいたのをを知った。
  さらに七日待って、また鳩を放ったところ、
  もはや彼のもとに帰って来なかった。
 
  (中略)
 
  ノアは共にいた子らと、妻と、
  子らの妻たちとを連れて出た。
  また、
  全ての獣、全ての這うもの、
  全ての地の上を動くものは皆、
  種類に従って箱舟を出た。
  ノアは、主に祭壇を築いて
  全ての清い鳥とのうちから取って
  燔祭を祭壇の上に捧げた。
  主はその香ばしい香りをかいで、心に言われた。
 
  「わたしはもはや二度と人のゆえに
   地をのろわない」
 
 前述の三つの洪水伝説を並べてみると、
 
 『旧約聖書』の「ノアの箱舟」伝承は
 明らかにメソポタミアの物語を
 取り入れたものであることが解る。
 
 パレスティナからは、
 紀元前千二百年頃製作の
 洪水伝説を語る粘土板の断片が
 見つかっていることは、
 
 『旧約聖書』が製作される以前に
 同伝説がカナアン地方に
 持ち込まれていたことを明らかに示している。
 
 『旧約聖書』「創世記」の執筆者が
 メソポタミアの資料を参照して、
 独自の神話に組み替えたのだと推測される。
 
 『旧約聖書』の信奉者である
 ヘブライ人との関係はどうなのか。
 
 ノアの系図の子孫テラは
 カルディア人のウルにおり、
 その子ハランはそこで死んだ。
 
 テラはその子アブラムなどとともに
 そこカルディアのウルを出た
 (第二章)と語られている。
 
 カルディアのウルは
 南メソポタミア、シュメルの都市ウルと
 一般に考えられており、
 ヘブライ人と南メソポタミアの民族との
 親密さを語る。
 
 「創世記」に使われるヘブライ語の箱舟は
 tebach であるが、
 これはシュメル語による理解によると
 「行く葦屋」 teb-ach 、
 つまり動く葦屋ということになる。
 
 teb はシュメル語の tsavi 、
 ach は á(家)-gi(葦)の転訛と考えられる。
 
 ギルガメシュ叙事詩において、
 神々の支配者であるエンリル神は
 大洪水を起して人間を滅ぼすことを決めるが、
 エンキ神のアッカド名であるエア神が
 それを人間に語ることを
 禁じられているにもかかわらず、 
 シュルパックのウトピナシュティムの
 葦屋の壁に向かって語る。
 
  王子エアは
  秘密を守る誓いを立てたにもかかわらず、
  彼等の言葉をわたしの葦屋に向かって繰り返した。
 
  「葦屋よ、おお柵よ、壁よ、壁よ、
   家を壊し、舟をつくれ、富を捨て、命を求めよ」
 
 ウタナシュティムの屋敷は葦屋であったのである。
 
 そして彼は家を壊して舟を作ることにする。
 
 そのために集めたのが大工と葦工であった。
 
 エア神にいわれたように
 間口と奥行を等しく方舟を作ったのであるが、
 これは葦舟で、 
 tehach の原型と考えられるのである。
 
 『旧約聖書』においては
 イトスギの木で箱舟が作られた。
 
 箱を表す用語は、
 英語で ark 
 ドイツ語で Arche であるが、
 アッシリア時代ペルシャ湾の貿易商人たちは
 アルク・ティルムンと呼ばれており、
 箱が舟であるとの概念がみられる。
 
 シュメル語の海は ma 、
 ヘブライ語の海は yarn であるが、
 ノア Noah はこの ma を
 転訛させて作られた呼称と考える。
 
 「創世記」は
 シュメル Shmer をシナル Snar という。
 
 MとNとの転換が同様にみられる。
 
 ギリシャ語では海は μόνο(mere) となるが、
 日本では古来から船名に付けられる「丸」は
 この語の流用である。
 
 モーセの姉ミリアムや
 イエスの母聖母マリヤ(ヘブライ語で Miryam )も
 海に因んだ名称である。
 
 三つの洪水伝説に共通する事項のうち、
 注目すべきは箱舟から解放された後、
 犠牲が捧げられていることである。
 
 ウトピナシュティムは
 
 「そして犠牲を捧げ、山の頂上に神酒を注いだ」
 
 と語り、
 ジウスドラ
 
 「一頭の牡牛を屠殺し、沢山の羊を犠牲に捧げた」
 
 またノアは
 
 「主に祭壇を築いて全ての清い獣と、
  全ての清い鳥とのうちから取って
  燔祭を祭壇の上に捧げた」
 
 と語られる。
 
 祝祭は
 メソポタミアの宗教的伝統として
 重要な慣習である。
 
 ここで『旧約聖書』を信奉する人々が
 祝祭の儀礼を持っていることを
 同書を読む者に初めて明白にしている。
 

 
M.K記
 連絡先:090-2485-7908
 

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