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第十一章 日本に祀られたインドの神々: 『埼玉・鹿島:剣持神の国』(6)大彦命の系譜 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]









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創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年
 
《第十一章 日本に祀られたインドの神々:
『埼玉・鹿島:剣持神の国』(5)稲荷山古墳出土鉄剣銘文の氏族
  
  稲荷山古墳」出土の鉄剣に刻銘された
 上祖意富比垝は、
 『古事記』の「大毘古命」、
 『日本書紀』の「大彦命」と
 理解されている。
 
 だが、
 第2代の「多加利足尼」以下の名は
 『記・紀』の系譜にみえない。
 
 『古事記』「孝元天皇」条に
  「大毘古命の子、
   建沼河別命は阿部臣等の祖、
   次に比古伊那許士別命」、
 
 また同「崇神天皇」条に
 
  「大毘古命の女御真津比売命を娶って、
    生みませる御子、
  伊玖米入日古伊佐知命」
 
 とある。
 
 『新撰姓氏録』には
 
  「背立大稱腰命、波多武日子命、紐結命、
    得彦宿禰」
 
 ともあるが、
 鉄剣の第2代の名はここにもない。
 
 だが、
 これらの中に「杖刀人」の名に当たる
 尊名がないかというと、
 
 『古事記』の比古伊那許士別命、
 『新撰姓氏録』の背立大稱腰命の系図に
 その痕跡をみることができる。
 
 その、「背立」は前玉、忍立、足立と同義で、
 「剣持、杖立」を表わす。
 
 「背立」はサンスクリット語の 
 śastra の転訛で「剣、杖」を意味する。
 
 Śas は動詞形で日本語の「刺(さ)す」である。
 
 奈良県桜井市谷に鎮座する
 若桜神社の境内にある
 高屋安部神社は延喜式神名帳の城上郡に
 「高屋安部神社三座並名神大」と載る神社で、
 かっては阿部の松本山にあったものを
 近年現在地に遷したという。
 現在の祭神は
 
  屋主彦太男心命、
  大彦命、
  彦屋主思命
 
 を祀っている。
 
 明治24年に出された
 「神社明細帳」にその祭神を
 
  屋主彦太男心命、
  大彦命、
  彦屋主田心命
 
 とある。
 
 このことにより同社が大彦命を祀り、
 その系譜に連なる神社であることが解かる。
 
 「安倍」は「阿部」で、
 『古事記』に
 「建沼河別命は阿部臣等の祖」と
 あるように
 この神社が
 阿部氏にの奉祭する神社と判明する。
 
 祭神名は
 「屋主彦太男心命」「彦屋主思命」の
 「屋主」は
 サンスクリット語の「杖、棒」を意味する
 yaṣti の転写である。
 
 「神社明細帳」の「屋主田」は
 より近い音写である。
 
 彦屋主田心命名は
 
 『新撰姓氏録』に
 背立大稲腰命の子の名として
 載り、「杖刀人」名の系列である。
 
 同神社の鎮座地名「谷」は「ヤツ」で同じく 
 yaṣti を祖語とする。
 
 この
 彦屋主田心命、彦屋主思命と表記された
 「田心」「思」の混乱は、
 その神社名にある「高屋」に原因がある。
 
 高屋は谷の南方にの地名「高家」と同音で、
 そこにある
 高田神社の名を地名とする「高田」が
 阿部に接して谷と高家との間にある。
 
 高家(屋)、高田名は
 サンスクリット語の 
 tarkyati(te) を祖語とする。
 
 高家は tarkya- 、
 高田は tark-ti(te) の音写である。
 
 語義は「想像する、~を思う」で、
 漢訳は「思度」とされ「思」を表わし、
 祭神名の「心、思」に該当するのである。
 
 tark- は
 ドイツ語の denken 、
 英語の think に当たる。
 
 この思念の意味は
 阿部地区にある
 仏教寺院文殊院の名にも反映されている。
 
 サンスクリット語の単語が
 二つの地名に分化している例は
 śakthimat が「佐古田・持田」、
 samkrama が「寒川-倉見」と
 なっていることなどを紹介した。
 
 この「思」は citta 、
 本書の「はじめに」で紹介した。
 
 「大智度論」の智度(思考、思想、智恵) 
 と同義で、
 高田の東側の地名「下」の祖語である。
 
 このことにより、
 祭神名「屋主思」「屋主田心」問題は
 「屋主田心」が有利のようだ。
 
 「心」は「太男心」の表記にも合う。
 
 以上は大彦命の子孫についてであるが、
 その祖先についてみると、
 
 『古事記』に
 その父は
 孝元天皇(大倭根子日子国玖琉命)で、
 その母は
 
 「此の天皇、穂積臣等の祖、
  肉色許男命の妹、肉色許売」
 
 とある。
 
 肉色許男命、肉色許売の兄弟の5代の祖は
 
 『古事記』の邇芸速日命(紀・饒速日尊)である。
 
 「邇芸速日命、登美毘古が
   妹、登美夜毘売を娶して生める子、
  宇摩志麻遅命、此は物部連、穂積臣、媛臣の
   祖なり」
 
 とある。
 
 『日本書紀』には
 
 宇摩志麻遅命は可美真手命と表記され、
 その後を彦湯女命、出口心春命、大矢口宿禰、
 そして肉色許男命とする。
 
 物部氏は
  石上神宮を奉祭する氏族として知られる。
 
 その祭神に布都御魂神があるが、
 物部の「物」は「ブツ」で「布都」に通じ、
 香取神宮の経津主神の「経津」と同じく
 「剣、刀」を表わし、
 物部氏が剣を祀る氏族で、
 大彦命の母系に成人がいることが解る。
 
 香取神宮の経津主神の別称が
 「伊波比主神」であり、
 これはサンスクリット語の 
 āvarha の転訛で
 「引き裂くこと、切去ること」を
 意味し「剣神」を表わす。
 
 āvarha が「乎獲居」の
 祖語であろうことを述べた。
 
 この二語と同根語の神名が
 「伊波我加利命」で、
 高屋安倍神社のある
 「若桜神社」の祭神名である。
 
 同神は磐鹿六雁命ととも称され、
 背立大稲腰命の第一子で
 彦屋主田心命の兄に当たる。
 
 同神名は āvarha-kara で
 「剣を持っ者」の語義となる。
 
 若桜神社は
 『延喜式神名帳』にも記載されている。
 
 このように大彦命の系譜が
 「剣、刀」に係わることは明白で、
 稲荷山古墳の鉄剣に刻まれた
 杖刀人の概念に包まれている。
 
 
M.K記
連絡先:090-2485-7908

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