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第二章 バビロニアの新年祭 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第二章 バビロニアの新年祭
 
 新バビロニア時代
 (紀元前六二五年~五三九年)
 バビロン市で毎年行われた
 新年祭での神殿における祝宴の最中
 朗誦された
 市の守護神マルドウク神への
 賛歌を紹介する。
 
 バビロンの『創世神話』と呼ばれる
 
 『エヌマ・エリシュ』の
 クライマックスとなる部分である。
 
  〔マルドウクは〕後ろからついて来た
  「悪魔」を彼女の顔に吹きつけた。
 
  ティアマトが彼を飲み込もうとして、
  口を開いた時
  彼は「悪風」を送り込み、
  彼女が口を閉じられないようにした。
 
  凶暴な風は彼女の腹に突撃したので、
  彼女の体は膨張し、
  彼女の口は大きく開いた。
 
  彼が矢を放つと、
  それは彼女の腹を引き裂き、
  それは彼女の内臓を突き通し、
  その心臓を断ち割った。
 
  このようにして彼女を征服し、
  彼は彼女の生命を断った。
 
  彼は彼女の死体を投げ倒し、
  その上にたった。
 
 マルドウクとティアマトの戦いの最終場面で、
 この一節が朗々と轟くと周囲の聴衆から
 「オウー」といった歓声が聞こえてきそうだ。
 
 ティアマトとは塩水を意味し、
 海を表すアッカド語である。
 
 ティアマトはここでは魔物として登場する。
 
 最後の一節はドゥルガーを圧倒した
 デーヴィー女神の勝ち誇った有様と
 全く同じく死体を投げ倒し、
 つまり
 伏せてその上に立ったという表現になっている。
 
 インドの「デーヴィー・マハートミヤ」の
 クライマックスと同じであることが
 確認できる。
 
 また、「エヌマ・エリシュ」神話では、
 マルドウク神が
 どのような理由により
 バビロン市の王位を
 掌握することになったかの経緯を
 述べるのが主題であるが、
 デーヴィー女神が他の神々によって
 魔物マヒシャと戦う任務を
 担わされることになったと同様、
 マルドウク神も他の神々の集会によって
 魔物ティアマトと戦う任務を
 与えられることになったのである。
 
 「デーヴィー・マハートミヤ」では、
 その経緯の重要性を
 さほど重大なことと
 解釈しているようにみえないが、
 「エヌマ・エリシュ」における
 マルドウク神の場合は、
 神々の集会で推薦され魔物と戦い退治して
 勝利したことにより
 王位に就くという決定的な
 教訓が含まれており、
 バビロン市が
 どうしてマルドウク神を
 都市神としているかを
 教宣しているのである。
 
 ここに引いた
 「エヌマ・エリシュ」の一部は
 紀元前三〇〇年頃の
 比較的新しい粘土板文書によるものである。
 
 この創世神話はけっして新しくはない。
 
 ジョン・グレイは
 
 「現存する最古の断片は
  前一千年紀のものであるが、
  その神話は言語や文体から判断して
  前二千年紀初頭の原本に
  遡り得ることは確実である」
 
 といっている。
 
 前二千年紀の初頭とは
 セム系民族のアッカドの人々が徐々に
 西北方から葦原である
 両大河の河口方面へ在り、
 先住の民族と摩擦を起こしていたが、
 前二三五〇年に
 サルゴン大王により
 遂にシュメルの諸都市を圧倒し、
 彼等の帝国を成立させ、
 アガデに彼等の都市を建設した頃である。
 
 ティアマトとは
 塩水の海の意であると紹介したが、
 シュメルの諸都市にとっては
 原初的な神々の母神
 フブルの別称でもあった。
 
 アッカドの人々の神である
 マルドウク神が湿地
 つまりシュメル原初的母神を
 圧倒したというのは、
 シュメルの諸都市を
 治下に敷いたという
 事跡の象徴であったのだろうか。
 
 マルドウクの
 マル maru は息子の意、
 ドゥク dug は壺の意味である。
 
 メソポタミアでは
 壺を持った神像が多く造られた。
 
 神の壺から流れ出る水は
 塩からい潮水ではなく、
 淡水で甘い水である。
 
 人々に豊饒と安らぎをもたらす
 神の恵みである。
 
 マルドウク神はそのため
 アッカド語で エア Eá 、
 シュメル語のエンキ Enki 神の
 息子とされる。
 
 エンキ神は「地の神」の意であるが
 水神である。
 
 地を掘ると淡水が湧き出てくる
 井戸ないし泉の神というのが
 専門家の見解である。
 
 シュメルの万神殿には三大神がおり、
 
 「天空の神」アン An 、
 「大気の神」エンリル Enlil 、そして
 「水の神」であるエンキ神である。
 
 少々混沌とするが、
 シュメルの人々にとって
 原初的母神と述べたフブルは
 アン神の父祖神といわれる
 アンシャル神とともに
 もう一つ古い世代の神で
 あったと考えられる。
 
 シュメル人がこの地にやって来て
 活躍したのは
 紀元前三千紀である。
 
 それ以前紀元前五千年紀に
 第一の先住民が移住してきてから
 二千年が経過した頃である。
 
 第一の先住民が集落を作り、
 神殿を建てた都市
 エリドゥの名称もシュメル語ではない。
 
 第一先住民の移動し定住した時期を
 専門家は一般にウバイド期と呼んでいる。
 
M.K記
 連絡先:090-2485-7908
 

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