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第一章 淀姫と矢保佐神社 [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]



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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年
《第一章 淀姫と矢保佐神社》
 大麦は日本神話にも登場する。
 
 『古事記』の大気比売神の屍のうち
 陰部に麦が生じ、
 『日本書紀』の保食神の段にも陰部に
 大豆・小豆共に化生したことが
 述べられている。
 
 麦との表現だけでなく
 大麦なのか小麦など
 他種の麦なのか判明しないが、
 以下の考察によりやはり
 大麦が優先されると考えられる。
 
 保食神の祀られている神社として、
 長崎県松浦市御厨町郭公尾免の
 保食神社を上げたが、
 延喜式神名帳には
 記載されてはいない神社とはいえ、
 たいへん興味を引く神社である。
 
 保食神、ウケ・雄牛を
 食膳とする神であることは
 すでに述べてきたところである。
 
 この保食神社のある地名御厨町の
 「厨(くりや)」は
 サンスクリット語 
 kriyā の転訛である。
 
 本来は、製作、実行、仕事の意味であるが、
 祭式、供犠、儀式を意味し、
 調理をも内容とする。
 
 保食神の調理場が
 この地区の名称なのである。
 
 この地方に
 神社への御供所としての認識は
 古くからあったと知られている。
 
 御厨の地名は
 鎌倉期に宇野御厨荘としてみえ始める。
 
 延喜式には
 「肥前国堧野牧」が載っているが、
 この牧では牛が養育されていたと思われる。
 
 後の「国牛十国」には御厨牛の名があり、
 
 「肥前国宇野御厨が牛を貢めたので、
  これを御厨牛と称する。
  角が長く、骨は太く、皮突は厚く、
  えだ肉も太い。
  ほとんどの牛は(体躯)大きい。
  中世・古代の名牛は、
  多くの場合
  ここから産出されたものである」
 
 と紹介されている。
 
 御厨の地名は、
 史料的には鎌倉期からであるが、
 実際は
 それよりかなり古いものと推測できる。
 
 堧野牧もやはり
 「クリヤ牧」であったと考える。
 
 松浦市御厨町に僯して志佐町がある。
 
 その志佐町浦免に淀姫神社が鎮座している。
 
 淀姫とは、
 実にドゥルガー女神を呼んだものである。
 
 淀はサンスクリット語の 
 yodha または yudha の転訛で、
 軍兵、武士をまた戦闘、合戦を表す。
  
 ドゥルガー女神を戦闘の女神と解釈し、
 直訳寄名したのである。
 
 さらに、御厨町および調川町に
 矢保佐神社と称する神社が鎮座している。
 
 このこれまで正体の知られなかった神社も
 正にドゥルガー女神信仰に
 係わっていたのである。
 
 矢保佐は大麦のことである。
 
 サンスクリット語の
 大麦 yavasa で、
 その転訛が矢保佐なのである。
 
 この地方ではドゥルガー女神を信仰し、
 大麦を供え、その豊饒を祈願したのである。
 
 そして女神から、
 つまり神社から供物として、
 麦芽モルツが人々に配られたと考えられる。
 
 というもの、
 この地方名松浦郡は
 「魏志倭人伝=魏書倭人章」に登場する
 末廬に依拠し、
 末廬はマツーラ、
 麦芽モルツから作られた
 水飴あるいは麦芽糖のことで、
 
 サンスクリット語 
 madhuura の転訛した甘味、甜、蜜、
 石蜜奨を意味する。
 
 後世仏教の時代となって、
 お花祭り、
 つまりお釈迦さまの誕生を祝う祭りの日、
 寺院では訪れた信者に甘茶が
 ふるまわれたことにも共通する。
 
 この慣習は
 古代インドの神々の恵み
 甘露を礼拝者にふるまったことに由来する。
 
 松浦とは、
 そのように天の神の恵みの土地なのである。
 
 現在松浦郡は
 佐賀県と長崎県にまたがっているが、
 矢保佐神社は
 唐津市、西有田町、呼子町、松浦市、
 平戸市、佐世保市などに広がっている。
 
 また、
 淀姫神社も
 矢保佐神社の分布と重なるように
 佐賀県、長崎県に分布しているが、
 特に取り上げておきたいのは、
 佐賀県佐賀郡大和町の河上神社である。
 
 延喜式神名帳に肥前国四座のうち、
 佐嘉郡一座として記載されている
 與止日女神社の比定社である。
 
 祭神は與止日女命で、
 欽明天皇の時に創祀されたとの
 伝承を持つ古社である。
 
 大和町の北富士町無津呂も
 末廬(松浦)と語源を同じくとする。
 
 Madhura は、
 古代インドで都市名に取り入れられ
 現在にまで至っている。
 
 あの
 「本生図と踊子像のある石柱」が
 発掘された町
 マトゥラー Madhurā 市、
 英語でマッラ Matura と称せられる
 古代紀元前七・八世紀に
 十六国の一に数えられた
 マッヤ Matsuya 国の首都のことである。
 
 長崎県松浦郡の地名について補足すると、
 佐々(ささ)町は薬草、草、穀物を意味する 
 sasa 、
 佐世保(市)は若草あるいは発芽した
 穀物の芽、
 ここでは麦芽を意味する 
 śaspa の転訛である。
 
 マッーラは、
 ドゥルガー女神の供物ではあるが、
 古代には
 健康を保つために極めて重要なもので、
 ときには薬としても重宝がられたのである。
 
 松浦市の西に田平(たびら)町がある。
 
 田平はデーヴィー Devi の転訛で、
 町内に
 淀姫神社(上亀免)、
 矢保佐神社(山内免)が鎮座している。
 
 この田平あるいは歴史の経緯のなかで
 田之平称される在所は
 長崎県内にかなりある。
 
 (松浦市志佐田平免、
  南高来郡吾妻町田之平免、
  南串山町京都泊名の田平、
   北有馬町田平)
 
 また、
 このデーヴィーの転訛と判断できる地名に
 田原がある。
 
 (松浦市御厨町田原免、
  平戸市田原免、
  佐世保市田原町、
  北松浦郡佐々町本田原免、
  小佐々町田原免、
  吉井町田原免、
  北高来郡小長井町田原名)
 
 また、
 田平町田代免にある阿羅仁神社には、
 曙晄を表す 
 aruni を神社名としたもので、
 デーヴィー女神に係わる呼称である。
 
 田平町の南に鹿町町がある。
 
 鹿町カーマ 
 Carma で皮革、獣皮の意であり、
 同町内には五社、
 東隣りの江迎町内に五社、
 田平町内に四社鎮座の鎌倉神社と
 関係している。
 
 つまり、
 鎌倉は 
 Carmakārā/Cammakārā の転訛で
 皮革職人または皮製物品を表すからである。
 
 平戸市のある平戸島の平戸は
 和名抄で庇羅郡、
 『日本後紀』に値賀島と載ることを
 考慮すると、
 やはりサンスクリット語の
 智恵、知識を意味する
 veda の転訛であることを指摘しておきたい。
 
 最後に、
 淀姫神について肥前国風土記に載る
 景行天皇の妹君の名が
 淀姫(豊姫・世田姫)で、
 その姫を祭るとの由来伝承を
 どう評価するかであるが、
 『角川地名大辞典』がいう通り
 真偽の程は疑わしい。
 
 京都府伏見区淀本町に
 「與杼(よど)神社」がある。
 
 同社はまた
 佐賀県大和町の与止日女神社から
 平安時代の応和年間に招請されたので、
 淀姫神社とも呼ばれる。
 
 延喜式乙訓郡に記載された古社である。
 延喜式山城国に葛野郡に坐す
 「大酒神社元名大群神」があり、
 大群神はまたデーヴィー神を表す。
 
 「大酒」とされるのはドゥルガー神の別称
 麻多羅 madira を祭神としているからで、
 「酔わせるもの、酒精飲料」を意味している。
 
 兵庫県赤穂市坂越(さこし)に大避神社がある。
 
 祭神は大避大神で大酒大明神ともいう。
 
 同社の所在地坂越は古史料に
 尺師と記されているようにシャクシで、
 延喜式山城国乙訓郡に載る
 
 「白玉手祭耒酒解(さかとげ)神社名神大
  元山埼社」の社名と同様
 
 サンスクリット語 
 šakti の転訛であり、
 シヴァ神の神妃としての
 デーヴィー神を象徴する。
 
 「白玉手祭来」は
 現在の京都市右京区梅津フケノ川町の
 梅宮大社の地をかっては玉手といったためで
 「延喜式」葛野郡に
 「梅宮坐神田社並名神大」
 と記載されている
 同社より酒解神を招請し奉祭したという
 説明書きをつけているのである。
 
 梅宮のウメは
 ウマー Umā で、
 これもデーヴィー女神の別称である
 酒解神がデーヴィー女神であることが
 これでも解かる。
 
 社伝によると
 同社もまた
 現在の綴喜郡井手町付近の
 山城国相楽郡井手庄から
 平安初期に鎮座替えされたという。
 
 井手には現在玉川が流れ、
 玉水あるいは玉津の地名がある。
 
 ところで「井」は
 セキ、シャウと訓ずるので
 「井手」の音読はシャクティであり、
 デーヴィー女神を表している。
 
 京都から流れて大阪湾に入る淀川は
 この淀姫の名に依る物である。
 
 ただし、
 応和年代(961~964)は
 神名帳の編まれた
 延喜(901~923)より後なので、
 神名帳に記す同社の祭神については
 別の解釈をしなければならない。
M.K記

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