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第十六章 イスラエル人の日本定着とヘブライの信仰・月氏とシルクロード:①イザヤ書のシニム [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]


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創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年
《第十六章 イスラエル人の日本定着とヘブライの信仰・月氏とシルクロード:イザヤ書のシニム
 
  シニムとは
 イザヤ書第4章12に登場する地名である。
 
 「シニムの地」との表現になっているので
 地名である。
 
 (これまでの聖書の引用は日本聖書協会
  「聖書」1955年改訳版に依ったが、
  ここは新共同訳「聖書」1987版に依る)
 
  見よ、遠くから来る
  見よ、人々が北から、西から
  またシニムの地から来る。
 
 「シニム」をアメリカ聖書協会(ABS)の
 King James Version を基にした古い聖書は
 the hand of Sinim としている。
 
 その地は
 「北から、西から、また」と述べている
 詩句からするとエルサレムからの東方ないし、
 南方に所在するとみられる。
 
 その南方に当たるエジプトの南
 アスワンとする説があるが、
 このイザヤ書の内容からすると妥当でない。
 
 なぜならば、
 捕囚の人々が居住していた場所としては
 不自然であるからである。
 
 エレミア書第43章、44章には
 
  バビロン捕囚の際、
 エジプトの逃れたユダの人々について
 語られているが、
 
 第44章12に
 
 「またわたしは、
    エジプトの地に住むために、
  無理に行ったあのユダの残りの者を取り除く。
  彼らはみな滅ぼされて
    エジプトの地に倒れる。」
 
 また第44章14に
 
 「エジプトの地へ行ってそこに住んでいる
  ユダの残りの者のうち、逃れ、または残って、
  帰り住まおうと願うユダの地へ帰る者は
  ひとりもない。」
 
 と預言者エレミアが述べていることから、
 捕囚の地としてのシニムをアスワンとするのは
 不的確であろう。
 
 アスワンは Swein と表記され、
 これが『旧約聖書』にある 
 Syene であるとの解釈によるものである。
 
 ABSのイザヤ書に
   Sinim を載せる
 前述の版本(古いもの)は
 
 エゼキル書の第29、30章に
 
 エジプトに係わる地名として、
 この
   Syene を表記し、
   Sinim とはしていない。
  Syene はアスワンであるが、 
  Sinim はアスワンではないと考える。
 
 なお、
  エレミアの活躍した時期は
 紀元前7世紀の後半から6世紀の前半、
 エゼキルは6世紀後半で」ある。
 
 ヘブライ語版(死海写本) では
   SYNYM とある。
 
 その比定については、
 他の西欧の聖書学者の見解も不確実で、
 最新の岩波書店
 
 『旧約聖書』「イザヤ書」(1997年)も
 「エジプトないしペルシアの
  どこかの地名と思われるが、不詳」と述べ、
 そこがどこかを不明のままにしている。
 
  SYNYM の語形は
    SYN-IMで、
    SYNの複数形とみる。
 
   SYNは現在一般に中国を指す言葉である。
 
 イザヤ書に述べられている 
   SYNは「秦(しむ)」に他ならない。
 
 「秦」とは
 本書で展開してきた
  秦氏の旧名「月氏」の故地である
 祁連山系の麓一体を言ったものと
 解釈することができる。
 
 第6章 「メディアから安定へ」で
  述べたように
 博罗轉井は「パリサイ」の音写であり、
 ヘブライ人の「離れた地」で、地名、山名
 アルタンは
  エズラ記第13章(ラテン語版)に
 アルザレと転訛して記載されていると考えるが、
 「安定」も同祖語とすることができる。
 
 前2世紀後半(176年)には移動を開始、
 140年に大月氏国となるが、
 紀元前200年頃はまだ安定を本拠としており、
 秦帝国は成立していなかったものの
 前3世紀末には強大になり、
 月氏にはその情報が十分伝わっていたであろう。
 
 何しろそれ以前の200年にわたり
 少々離れていたものの
 その勢力圏が至近距離にあった。
 
 イザヤ書第40章からは
  第2イザヤ書といわれ
 紀元前550年頃成立されたとする
 「預言書」の一つであろう。
 
 イスラエル人である月氏が中東アジアで
 活躍したのは紀元前4世紀以後のことである。
 
 その預言が妥当であったのだろうか。
 
 そうではない。
 
 「預言」とははいうものの、
  実際興った事々を
 記述している例は古代には存在する。
 
 インドの仏教経典が
 ジャイナ経にそれらしい記述がみられる。
 
 何回か引用した
 「ミリンダ王の問い」も
 メナンドに大王の実在は
 紀元後1世紀らしい内容が含まれ、
 その完成が1世紀の終わり以降に
 想定されている。
 
 ジャイナ教典には実在した王名9名が
 未来に現れるだろうと記述したいる。
 
 それらは
 インドの場合であるが、
 イスラエルにおいても
 そのようなことが無かったとは限らない。
 
 現在のところヘブライ語で書かれた最古の
 『旧約聖書』である死海文書(写本)でさえ、
 
 その記述された時期が
 紀元前1世紀の間と推定されている。
 
 以上のことを踏まえれば、
 そのような経緯により、
 
 シニムが
 イザヤ書に採り入れられた可能性はあり、
 アジアで活躍したイスラエル人の情報が
 いずれの時にか明らか確実にエルサレムまで
 伝わっていたことになるのである。
 
 それはイスラエルの
 「失われた十支族」の一部の消息が
 知られていたことになり、
 
 聖書は明確に
 その記録を書き入れたのである。
 
 紀元前2世紀はパルチア王国が隆盛で
 東方との交易は海洋によることが、
 西アジアやギリシャの商人に
 知られるようになり、
 インドと紅海あるいは
 エジプトとの貿易が盛大になった。
 
 セリカの絹製品が
 続々とローマ帝国へ流入した。
 
 その担い手がユダヤ商人であったことは
 よく知られているところであり、
 
 クムラン宗団の存続した当時に
 東方(セリカ)の情報が
 彼等に届いていたとしても
 不思議はない。
 
 死海文書を記述作成したとみられる
 同集団の存続は
 紀元前2世紀に遡ることが確実とされている。
 
 また、
 イザヤ書の弁明は
 本書の
 月氏、秦氏の来歴についての解釈を
 正しいものとして説明しているのである。
 
 その関連の記述はイザヤ書ばかりでなく、
 エズラ記(ラテン語版)第13章にも及んでいる。
 
 さて第2イザヤ書は「慰めの書」ともいわれ、
 アッシリアによって連れ去られた
 イスラエル国の十部族及び
 新バビロニアによって起こされた
 バビロン捕囚の人々に対し、
 シオン(聖地)のあるエルサレムへ
 必ず帰還させるとの神の誓いを
 詩詞によって述べたものである。
 
  あなたは知らないのか、
  聞いたことがないのか、
  主は、とこしえにいます神、
  地の果てに及ぶすべてのものの造り主、
  倦むこともなく、疲れることもなく、
  その英知は究めがたい。
 
 ここにおいて、
 突然に主が「地の果ての創造者」で
 あることを述べ始める。
 
 これからまだ知られていない
 「地の果て」に
 ついての事実を述べると言っているのである。
 
 「地の果て」とはカナンの地からみた
 東方の端を想起させる。
 
 第41章は
 そこの国々に向かって呼びかけている。
 
  島々よ、わたしのもとに来て静まれ、
  国々の民よ、力を新たにせよ、
  進み出て、悟れ、
  互いに近づいて裁きを行おう、
  東からふさわしい人を奮い立たせ、
  足もとに招き、
  国々を彼に渡して、
  王たちを従わせたのは誰か、
  この人の剣は彼らを塵のように
  弓は彼らをわらのように散らす、
  彼は敵を追い、安全な道を進み、
  彼の足をとどめるものはない。
 
  この事を起こし、成し遂げたのは誰か。
  それは主なるわたし。
 
  初めから代々の人を呼び出すもの
  初めであり、後の代と共にいるもの
  島々は惧れをもって仰ぎ
  地の果てはおののき、
  共に近づいて来る。
 
  (略)
 
  わたしの僕イスラエル人よ。
  わたしの選んだヤコブよ。
  わたしの愛する友アブラハムの子よ。
  わたしはあなたを固くとらえ
  地の果て、その隅々から呼び出して言った。
 
  あなたはわたしの僕
  わたしはあなたを選び決して見捨てない。
 
  恐れることはない、
  わたしはあなたと共にいる神
  たじろくな、わたしはあなたの神。
 
  わたしの救いの手であなたを支える。
 
 この詩句はペルシャのキロス
  (『旧約聖書』ではクロス)王が、
 新バビロニア(カルディア)を滅亡させ、
 捕囚のユダヤ人を解放し、帰郷を許し、
 エルサレムに神殿を建てることを
 許容したことを述べている。
 
 「島々」と訳されている用語は
 ヘブライ語版では「沿岸と島」を
 それぞれ複数形で記述している。
 
 正確には「海沿いの国々と島々」である。
 
M.K記
連絡先:090-2485-7908
 

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