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第三章 カルト(スバル)人の地中海進出(2)フィリステル [創世紀(牛角と祝祭・その民族系譜)]

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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―
 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦
 執筆時期:1999~2000年

《第三章 カルト(スバル)人の地中海進出(2)フィリステル




 『旧約聖書』ゼパニヤ書第二章も

 ケレテが登場する。

 

  ともあれ、ガザは捨てられ、

  アシュケロンは荒れはて、

  アンドドは真昼に追い払われ、

  エクロンは抜き去られる。

 

  わざわいなるかな、

  海べに住む者、ケレテの国民。

 

  ペリンテだとの地、カナンよ、

  主の言葉があなたがたに臨む。

 

 前後の地名から判断すると、

 聖書においてペリンテといわれる

 ギリシャ名フィリステルは

 現在のパレスティナであるが、

 この海岸地帯に住む人々を

 「ケレテの国民」といっている。

 

 カナンは「ペリシテびとの土地」であり、

 「ペリシテびと」は「

 ケレテの国民」であるとの内容になる。

 

 また、サムエル書下の第八章には

 

 「エホヤダの子ベナヤはケレテ人と

  ぺレテ人との長、

  ダビデの子たちは祭司であった(18)」

 

 との節句がる。

 

 この「ケレテびととぺレテびと」を

 

 ヘブライ語で 

 Cherethites・Pelethites とも、

 

 ドイツ語聖書では 

 Krethi・Prethi と表記されている。

 

 彼等は

 ダビデ王の親衛隊を構成していた人々である。

 

 Prethi については

 ペリシテ人 Philister 

 と解釈されている場合もあるが、

 

 同じ第八章一二に Philistines の表記があり、

 同義とすることは難しく、

 正確のところは不明である。

 

 ゼパニヤ書のいうように

 フィリステルの紀元前十世紀

 ヘブライの王ダビデの時代に、

 ウガリットの祖先の王家名と

 同じケレト人が

 活動していたとの記録は重要である。

 

 また、カナン語で 

 keret と発音された用語が

 ヨーロッパ語圏のドイツ語において

 Krethi と発音されたことも

 留意すべき事項である。

 

 Philister については、

 紀元前1230年頃から

 エジプトの海岸に現れた

 「海の民」と呼ばれる地中海東部に起った

 海の流浪民のうち、

 武装集団パラサティ Peleset が

 チェケル Tiekkel とともに

 当該地域に上陸して

 都市を形成したことによるとの

 見解が是認されている。

 

  Pelesat は

 ダニエル書第五章に語られる 

 tekel、u-pharsin(25)と

 関連しているようにみられる。

 

 Tekel は Tjekkel を、

 Phărsin は  Peleset に対応し、

 

 続く条句で

 

 「テケルはあなたが秤で量られて、

  その量の足りないことが

  あらわれたことをいうのです(27)。

  ペレスはあなたの国が分かれて(28)」

 

 と説明される。

 

 Phărsin/peres は創世記第一〇章に

 セムの子孫ペレク peleg を

 

 「これは彼の代に

  地の民が分かれたからである(35)」

 

 と説明している「分化」と

 字義とする同類語である。

 

 Tjekkel 及び Peleset は

 エジプトの史料にのる

 「海の民」九武装集団に含まれる

 集団名であるが、

 ケレテはその九っの集団名に含まれていない。

 

 つまり、

 ケレテ人は

 「海の民」の属さない人々であったと

 考えた方がよいと思われるのである。

 

 Chevethites について、

 彼等の祖地がクレタ島( Cret )とする見解が

 西欧の専門家によって採られてきた。

 

 例えばアメリカの

 『 Evangelical Commentary on the Bible 』

 は記す。

 

 Kerethite is a reference to the Cretan origin

 of philistines.

 

 確かにアシュケロンには

 同市で最古の神殿とされる

 「ミノス神殿」があることが

 知られているほか、

 ガザ市はローマ時代に

 「ミノスの後裔」と喧伝されたが、

 牛角崇拝の神殿信仰が

 クレタ島から来たとは限らない。

 

 カナン神話の主神バアルは

 牡牛の上に立つ神であり、

 「ケレト」自身が

 牛角であることは言うまでもない。

 

 ガザ gaza の地名は

 アッシリアを Gadatas と称すが、

 この Gada- が転訛したものであろう。

 

 この語はシュメル語の 

 Gud の同類語と考えられるので、

 牡牛を市名に冠したものである。

 

 『旧約聖書』創世記第一の章は

 「カフトリ族からペリシテ族が出た(14)」、

 ケレテとはいっていない。

 

 このカフトリは、また西欧において

 クレタ島との定説があるが疑問である。

 

 カフトリ族は

 ミツライム(エジプト)から出た種族(13)

 と説明している。

 

 確かにクレタ島には

 ギリシャ神話の海神ポセイドンの馬に

 まつわる影が投影されており、

 

 その祖地がリビア、

 つまり『旧約聖書』にいう

 「プト」であるとの見解もあるので、

 クレタをカフトリとすることを

 全く否定する訳にはいかないが

 妥当性は低いと考える。

 

 アメリカ聖書協会版聖書の扇ページに

 付けられた西アジア周辺地図には

 クレタ島を Caphtor としながらも

 ?をやくやく添えていて

 疑いを示唆している。


M.K記
 連絡先:090-2485-7908
 

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