日本創世紀









 ―倭人の来歴と邪馬台国の時代―






 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦



  




《終章 卑弥呼の「倭錦」


 (6)ミキ〔御木〕ミケ〔三家・三毛〕


  









 本書第2章で邪馬台国が

 「御木」に所在したと説明し、

 その「木」とは jambu 樹g

 という巨木であると示したが、

 その大樹をなぜ「ミキ:御木」というのか、

 その理由を明らかにしておきたい。


 「ミキ」「ミケ」とも同根で

 和名類聚抄筑後国三毛郡名である。


 また三毛郡のうち最後に残った郷名

 「米生」も同様である。


 高山寺本がその訓として

 「与那布」と添えているが、

 後追いで頭初の呼称とはみられない。


 同郷名は現在も

 大牟田市の南部に米生町と現存している。


 その周りの地称を解釈すると、

 「馬渡」は弥奴〔佐賀県<肥前国三根郡>〕の

 「米多国造」名と同じく

 サンスクリット語の

 vadhu の音写で「女」との語義である。


 また「大神宮」の鎮座する「臼井町」名も

 同じ ush〔曙、早朝〕と太陽信奉に係わる。


 米生町の隣りに、「天道町」とあり、

 まさに「太陽」を指す地名である。


 その「ミキ」は

 卑弥呼の役務を表す呼称である。


 彼女が「鬼道」に仕える 

 「巫女」であることは

 第4章で詳しく述べた。


 その「役務」をアズミ族の言葉でいうと

 pa-me〔呼ぶ-神託〕でいわゆる「ヒメ」である。


 これを漢字で表記すると

 日本語で使われる「姫」である。


 第1章で和人〔倭人〕は

 「姫氏」一族と紹介し、


 その甲骨文字になっている構成を説明したが、


 「姫」は「目を上げる女」で、


 神あるいは天をあがめる女で

 巫女の語義である。


 その「姫」字は

 「女」と「目」との構成で、

 それをアズミ族の言葉でいえば


 mi-igi〔女-目〕で

 「ミギ」あるいは「ミキ」となる。


 つまり

 「ミキ(ミギ)」は「巫女」の語義となり、

 「ミキ〔御木〕国」は「巫女の国」となる。


 日本語では「巫女」を「ミコ」と通称する。


 その同義語は「巫子」であるが、

 また「巫師」で巫子もまた「ミシ」であろう。


 「ミシ」もまたアズミ族の言葉で

 mi-si〔女-目〕と「姫」字に従っている。


 アズミ族の言葉に

 「目」は igi-si と両語がある。


 「ミキ〔御木〕国」は

 「巫女の国」だからには

 邪馬台国は「巫女の国」である。


 現代そこを「三池:ミイケ」と呼ぶが、

 その理由も mi-igi〔女-目〕に起因する。

 

 








  M.K記