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 創世紀―牛角と祝祭・その民族系譜―

 著述者:歴史学講座「創世」 小嶋 秋彦

 執筆時期:1999~2000年




《第二章 高床式神殿の祭神(二)水神



 アルパチヤの碗形土器には

 二人の人間の身長よりも大きい壺が

 描かれている。

 

 壺はアッカドのマルドゥク王の場合のように

 王の象徴でもあった。

 

 ハラフ期・ウバイド期の神殿に

 残された壺の中からは

 穀物、動物の骨、魚の骨などが

 発見されていて、

 神殿への奉納のための容器として

 使われたことを示している。

 

 しかし、

 牛頭・マルタ十字紋と並列された壺には

 単なる貯蔵用容器を表すだけでない

 神への期待が込められている。

 

 「水の恵み」を

 祈願しているものとみられるのである。

 

 シュメル語の畑を表す 

 aša は「真ん中に水がある」字義で、

 農耕のために水がいかに

 貴重視されていたかが解る。

 

 「ア a 」が水、

 「シャ sa 」が中央を表す。

 

 高床式神殿の「高み」にある聖所は

 suku ないし sug と称したことは

 紹介済みだが、

 この用語の絵文字は「○の中に横∬」で、

 容器の中に水があることを表している。

 

 楔形文字になると、

 刻文は一つでも「池・堤」を表し、

 amber と読まれた。

 

 また、

 天空 zikum を表す楔形文字は 

 engur とも読まれ

 「深海」ないし「深水」の意味で、

 大量の水を想像させる。

 

 河川は「 id イドゥ」であるが、

 その楔形文字は水と

 engur/zikumとの合成語である。

 

 エリドゥの神殿の呼称は 

 e engur で「水の神殿」の意である。

 

 Engur の楔形文字を分析すると、

 容器( gur )が星型米( an )を囲んでいる。

 

 つまりengur は an-gur であり、

 「天にある容器」と解釈でき、

 雨を降らせるために水を貯える

 天の壺と考えられる。

 

 壺は dug ないし duk と呼ばれた。

 

 この楔形文字はまた buk とも読まれ、

 動詞形になり、「所蔵する」の意味になる。

 

 さらにこの語は「耕作する」にも使われ、

 神殿の壺が穀物の豊饒を祈っていることも

 理解される。

 


 

アルパチャ遺跡の碗形土器

神殿の壺

 

 Tell Arpachiyah (Iraq)



 高床式神殿、牛頭、空白の布幕、幕と婦人、

 マルタ十字紋等

 (アルパチア遺跡出土の碗形土器に

  描かれている) 





M.K記